赤い狼 四
多分、昨日の事はこれからも言わないだろう。
隼人達が真実を知るのはきっと一年後。
私が嘘をついていたと知ったら隼人達は怒るのだろうか。それとも軽蔑するのだろうか。
それは私にも分からない。
けれど、その時が来たら嫌でも分かるのだろう。
…その時には彼等の所には私はもう居ないけれど。
そして、今は罪悪感しか湧かない私のこの心に"あの時、嘘をついて良かった"と思える日が来れば嬉しい。
そうなるのか、ならないのかは分からない。
でも、いずれ分かる時が来るだろう。全てが分かる、その時が。
………時が来たらきっと。