赤い狼 四
「背中流す…?」
「あぁ。だから早く脱げ。」
首を傾げて拓磨を見れば早くしろ、と急かされる。
そこで気付いた。
「ね、ねぇ…皆は何で一列に並んでるの?」
拓磨の後ろ。さっきまで自由にどこか行ってたのに、今は皆が何故かボディーソープの容器を持ってにこやかに座っていた。
いや、分かるけども。
この場所はその為のものだけれども。
だってここは何を隠そう、《VENUS》専用のお風呂だけれども。
未だに、何で私がここに居るのかが分からない。いや、寝る前はお風呂に入らなくちゃいけないけどさ。
「だって私、女なのに。」
年頃の男がたくさん居る中、私(女)一人がお風呂の中に居るのっておかしいと思う。
塚、これって今思ったけど危なくないか。何気に18禁に片足突っ込みかかってる気がする。
そ、それはあまりよろしくない。
……それに、背中はちょっと無理がある。結構な傷が…あるから見せられない。
「あ、頭で結構です!背中じゃなくて頭をやって欲しいですお願いします!」
「駄目だ。背中だ、背中。」
「そこをなんとかぁああ!!」
拓磨に噛みつくような勢いで肩を掴んで前後に揺らして頼む。