赤い狼 四





「背中流す…?」



「あぁ。だから早く脱げ。」




首を傾げて拓磨を見れば早くしろ、と急かされる。


そこで気付いた。




「ね、ねぇ…皆は何で一列に並んでるの?」




拓磨の後ろ。さっきまで自由にどこか行ってたのに、今は皆が何故かボディーソープの容器を持ってにこやかに座っていた。




いや、分かるけども。


この場所はその為のものだけれども。



だってここは何を隠そう、《VENUS》専用のお風呂だけれども。



未だに、何で私がここに居るのかが分からない。いや、寝る前はお風呂に入らなくちゃいけないけどさ。




「だって私、女なのに。」




年頃の男がたくさん居る中、私(女)一人がお風呂の中に居るのっておかしいと思う。


塚、これって今思ったけど危なくないか。何気に18禁に片足突っ込みかかってる気がする。

そ、それはあまりよろしくない。



……それに、背中はちょっと無理がある。結構な傷が…あるから見せられない。




「あ、頭で結構です!背中じゃなくて頭をやって欲しいですお願いします!」



「駄目だ。背中だ、背中。」



「そこをなんとかぁああ!!」




拓磨に噛みつくような勢いで肩を掴んで前後に揺らして頼む。





< 256 / 457 >

この作品をシェア

pagetop