赤い狼 四
そう思って眉を垂らす。
「背中に翼があるから無理なんやな!よーく分かったわ!」
「翼なんて無いわ!!」
でも、龍が馬鹿だった事を完っ全に忘れていた。
そうだった。馬鹿だった。
あまりの龍の馬鹿さに頭痛が襲ってきたっぽい自分の頭を抱える。
そこで、目線を少し下に下げて重大な事に気付く。
「ふっ、」
「ふ?」
「服を着ひぇくだしゃいぃい!!」
興奮した私は思いっきり噛んだ。
恥ずかしいけれどもそんなの構ってられない。私にとってとっても重大な出来事が起こっているのだ。
今、気付いたけどコイツ等…服を着てない。
いや、かろうじて下は…か、下半身はタオルで隠してあるけれども!
でも、それはギリギリ見えるか見えないかで逆に目のやり場に困る。いや、堂々と男の証を見せられても困るんだけど、でも…!
その魅力的な体はないんじゃないだろうか。塚、反則だ。
ギュウッと目を瞑って視界を遮る。
すると、今更?馬鹿じゃねぇの、と龍の後ろに居る毒舌優魔様が呟いた。
何だってぇえぇ?
それにもちろん、ムカついた私は拳をプルプルと震わせる。