赤い狼 四
:楽になる方法
《RABBIT》に来て二日目。
昨日のお風呂で転けたのが原因で痛い腰を擦りながら起きた時間は5時少し過ぎだった。
な、なんてお年寄り生活なの…。
休みの時は遅起きというのが習慣になっている私にはあり得ない事だった。
何で私、何もナシで起きれたの!?
本当にビックリだった。普通に驚いた。
でも、もっと驚いたのは今の状況だ。
「な、何だ…?」
状況を把握している中、出した声はとても自分が出したとは思えないほど掠れていた。
ど、どういう事でしょうか。
目をパチパチと高速で開け閉めする。うん、間違いない。
目の前にあるものが何だか確信した私は恐る恐るそれに触れた。
滑らかな柔らかい肌の感触。
長いふさふさな睫毛。
艶がある茶色の髪の毛。
形のいい、薄くて赤い唇。
それはまさしく陽の顔。
一瞬、息が止まるかと思った。だって朝、目が覚めたらこんな近くに陽の顔があるだなんて誰も思わない。
滑らかな肌を指で確かめている時、目の前の陽の綺麗な色をした茶色の髪がふわふわとしてそうで触ろうかな、なんて思って手を伸ばした。