赤い狼 四
―――あの後、どちらも退かずにゴロゴロと転がりながら私と優魔は取っ組み合いをしていた。
「野蛮な女だな!つーかお前、本当に女か!?」
「はぁん?優魔の目は飾りなんですか?ねぇ、飾りなの?昨日お風呂で見たでしょ!!」
「待てよ!その言い方だと俺が稚春の入浴シーンを覗いたみてぇじゃねぇか!!」
「どっちだっていいわよ!優魔はどうせスケベなんだから!!」
「せめてエッチって言えよ!!」
「いーや!優魔は変態でスケベでハレンチです!」
「何だとぉ?」
「やんのか~?」
その時の私と優魔はどっちが勝つか、にもう夢中で。
凄い顔で優魔を睨んでたと思う。優魔の顔もいつもの美形が歪みに歪みまくって不細工になってたから。
まぁ、とにかくムカついて優魔の長くて艶がある赤黒い髪の毛をギリ、と握った。
瞬間。
ブチッっていう凄い音がした。え?と声を漏らして掌の上にあるものを見て、驚いた。
私の掌にあったのは優魔の綺麗な綺麗な髪の毛だったのだ。