赤い狼 四
「だいたい、女のくせに俺に歯向かってくるのが腹立つ。」
「なーんですってぇ?」
鼻で笑ってきた優魔を睨む。
今度は十本抜いてやろうか?この野郎!いっそのこと千円ハゲにしてやってもいいんだぞ!!
フシューと鼻息を荒くしながら優魔の胸ぐらを掴む。
優魔も私の頭を鷲掴みしてきた。
コイツ、マジでハゲさせてやる!!
「千円ハゲ作ってやる。」
「上等。」
フンッと笑ってバチバチと火花を散らせながらツーラウンドに入ろうとした時だった。
「飯食いに行くぞ。」
「ぐえっ!!」
私と優魔の間にニョキッと手が入ってきて凄い力で引き離された。
その時に丁度、腕がお腹に埋まって変な声を出す。
くくく、苦しかった!一瞬、胃液が出てくるかと思ったじゃないか!
咳き込みながら私を苦しめた人を確認すると拓磨だった。おい、私に何か恨みでもあんのか。
塚、何も食べてないんだから止めてくれよ。そりゃあお腹空いたからご飯は食べたいけどさ。
「弘さんの店に行くぞ。」
うん。朋さんのお店でご飯が食べれるのは凄く嬉しいけどさ。朋さんが料理できるなんて初耳だけどさ。お店やってるのも……って、え………?