赤い狼 四





「朋さんって"love&beauty"とどういう関係?」



「あれ、朋さんの店。」



「うん。現実逃避決定。」




信じたくない出来事が発生した。




塚、あのヘラヘラしてる人がお店持ってるって大丈夫なのか。



不安げに、私の前を颯爽と歩く拓磨に顔を向ける。




「言いたい事はよく分かる。だけど………信じろ。これが現実だ。」




信じたくないと否定していた私の脳内を、拓磨が容赦なく現実に引き戻しながら口角を上げる。



私の腕をぐいぐいと強めの力で引っ張って歩く拓磨の後ろを半ば放心状態で歩きながら大きく一つ、ため息を溢した。




本当に朋さんネーミングセンス無さすぎ。《VENUS》のヘラヘラ初代総長さん。女好きらしい女慣れしている男の人。この県の中でも売り上げNo.1の焼肉屋さんのお店の持ち主。



そんな、グタグタで全く統一感がなくてよく分からない人が朋さん。




……なんか頭の中がこんがらがってきたぞ。




「おーい。色々と想ぞ……妄想しとるとこ悪いんやけど"love&beauty"に着いたで?」





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