赤い狼 四
すると
「裏ボスは倒せたの?」
キッチンにはフライパンを握っている棗が居た。
「野菜炒め?」
「もう昼だからね。」
私がフライパンを覗くと、棗がニッコリと笑った。
どうやら私と連と奏が三人でゲームをしている間にお昼になってしまっていたようだ。
「棗…私も何か手伝うよ。」
私がゲームをしている間に棗はせかせかと一人で料理をしていた、なんて考えると申し訳なくなって眉を下げる。
棗はそんな私の眉間をチョンッとつついてフッと笑った。
「そんな顔しないの。楽しそうで良かったよ。連も奏も、稚春も。」
「な、棗ってばぃぃ人っ!」
「今更気付いたの?」
ハハッと楽しそうに笑った棗に抱きつく。
自意識過剰な台詞以外を除いて、本当にあなたはぃぃ奴だ。
「あと何作るの?」
「何にしようか迷い中。」
「じゃあ私が中華スープ作ってあげる~。」
「美味しそうだね。」
棗から体を離して腕捲りをする。
そして、邪魔になるから髪の毛も束ねた。