赤い狼 四
――――――…
「稚春、お前本当に女か?」
すっかり疲れ果ててしまっている皆の目の前には、机の上にめいっぱい広げられている十枚の大きなお皿。
それを気の抜けた瞳で見つめながら怪訝そうな声をかけてくる優魔に清々しいほどの笑顔を向ける。
「おうよ!お腹がいっぱいで幸せすぎる!私のお腹がキャッキャッと喜んでるよ~!!」
「そりゃあ良かったなー。」
テンション高めで返せば、興味なさげに返事をされる。
なんでそこで棒読み使うかな。テンション下がったじゃん。
「よーし!そんな幸せそうな稚春に、朋さん特別のデザートやるっ!」
「きゃー!!朋さん素敵!」
優魔の態度に眉を顰めて、お腹を擦っている私に笑った事によって細くなった朋さんの目を見つめる。
すると、「稚春にだけだぞ。」なんとも嬉しい事を言ってくれた。
「やたっ!朋さんスキスキ~。」
目の前にピンク色のガラス製の小皿に入ったグレープシャーベットを差し出してきて、私の頭をくしゃくしゃと撫でてくる朋さんの腕にしがみつく。