赤い狼 四
でも、その後
「稚春は見かけによらず胸デケェんだな。」
鼻の下を伸ばして歓喜な声を漏らした事によって、朋さんは私と《VENUS》の皆に思い切り振り上げた拳を頭に食らった。
朋さんのエッチ!!変態!すけべ!!ははははれんち!!
「何でだー。ひでぇじゃないかっ。」
「ざまみろ。」
ふんっと鼻で笑って、明るいお店の照明に当たってキラキラと光る紫色の物体を口に運ぶ。
「んーまっ。」
口に入れた瞬間、口の中でスーと溶ける甘い味に顔を綻ばせる。グレープ味だ。
頬が落ちるんじゃないかな、と思わず両手で頬を包み込むようにして覆った。
と、そこで
「―――――ところで。」
拓磨がとん、と指で机を叩いた。
その音に反応してシャーベットから顔を上げると、拓磨が真剣な表情で私を見ている。
ごくん。
口の中で液体になったシャーベットを唾と一緒に喉に流し込んだ。
「まぁ、今日はこれが話したくてここに連れてきたんだけどな。」
そう言いながら龍に視線を向けた拓磨に首を傾げる。