赤い狼 四





「……どういう?」





耳に入ってきた言葉が理解できなくて眉を顰める。



何をどう取るっていうんだろう。肝心な事は分からないけど、龍が真剣なのは分かる。




と、おもむろに龍の口が動く。



ごくり。誰かの息を呑む声が微かに聞こえた。




「さっき誰も自分を必要としてくれる人なんて居ないって言ってただろ。だったら俺がお前を取ってやる。そしたら稚春が楽になるだろ。


《SINE》から…大狼から取ればいいんだろ?


大狼が稚春をないがしろにするんだったら、俺が奪っても相手は文句言わないだろ。」




龍がなぁ?と《VENUS》の皆に余裕の顔を見せる。



その余裕はどこからくるんだろう。だって、関東No.1が関東No.2に喧嘩を売るようなものなのに。




仮にも私は《SINE》のもの…所有物。それに手を出すなんてご法度の中のご法度だろう。それなのに。





「だから、必要ないなんて自分の事を自虐的に考えるな。な?」





なんで、こんなにも穏やかに笑って安心させてくれるんだろう。



なんでこんなにも優しい言葉をかけてくれるんだろう。







すがってしまいたく、なるじゃないか。






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