赤い狼 四





後で感謝の印にキンキンに冷えたゼリーとかくれないかな。無性にゼリーが今、食いたい。




手を上に上げて伸びをしながらパソコンの画面に映っている自分を見つめる。



俺とした事が何やってんだ。電源入れてないなんて。




自分の失態を鼻で笑って電源を入れる、手前で手を止めた。





まだ何も映していないパソコンの画面に俺の顔が見える。




その中の目をじっと見つめて―――「大丈夫、だな。」頷いて今度こそ電源を入れた。





目は"大丈夫"だった。"生きていた。"



安心して胸を無意識に撫で下ろす。自分の目もあんなんだったらどうしようかと思った。




あの時の隼人の目みたいになってたら、どうしようかと。





「アイツの目、死んでたな。」




最近の隼人の目を記憶から引っ張り出す。




何も映していない漆黒の瞳。




隼人の正面に立った俺は、隼人に見えていたんだろうか。





――――いや、見えてないな。





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