赤い狼 四





「今から行くから!」



「早くしろよ。」




低い声でそう呟かれた後に、ブチッと電話を切る音がした。



…会話時間、30秒…。



うん、ぃぃ記録だ。




冷蔵庫から野菜ジュースを取り出してコップに少しだけ入れる。



そして、一気飲み。



それからジーパンとTシャツを着て、その上から上着を羽織る。




「いってきます!」




ガチャンッと大きな音を立てて閉まったドアに鍵を掛ける。




「お待たせ!おはよ!」



「ほら。」




返事をせずにヘルメットを渡してきた隼人を軽く睨みながらヘルメットを受けとる。




「何で睨んでんだ。」



「あ、い、さ、つ!」



「あぁ、行くぞ。」




挨拶って言ったのにやっぱり返事は返してくれずにバイクに乗る隼人。



またスルーされた。



ムウッと頬を膨らましていると、隼人がハハッと白い歯を覗かせて笑う。


隼人の歯はいつ見ても白くて綺麗だ。




「おはよ。…これでぃぃんだろ。行くぞ。」



「はぁーい。」




ちゃんと挨拶をしてくれたから頬を普通に戻してバイクに乗る。





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