赤い狼 四
それから私はなんとか立ち直った。
中華スープは棗とお話をしていたらいつの間にか作り終わってしまっていて自分でも焦った。
そして、今は皆でソファーに座って昼食タイムに入ろうとしているところだ。
「おい。箸がねぇ。」
「あ!本当だ!今から取ってくるね!」
顔を顰めて低くそう呟いた隼人に急いで箸を持っていく。
皆もなかったみたいだから皆のも持っていった。
肝心な箸がないと困るからねぇ。
うんうん。と首を縦に振る。
でも、首の振りが思ったより激しかったらしく
邪魔だからと束ねておいた私の髪の毛がバサバサと隼人に当たった。
しかも、まだ低い位置に髪を束ねていたらよかったものの、ポニーテールという
なんとも髪の毛で攻撃するには丁度ぃぃ高さの髪型にしていた為、隼人へのダメージは大きかったようだ。
「ちょっ、おまっ!ふざけんなよ。」
案の定、怒った隼人が私を睨みあげる。
でも、私はわざとやったのではなくて髪の毛が勝手に攻撃を仕掛けたのだから
その状況を知る筈もなく。
隼人の焦った声で初めてその事態に気付いた。