赤い狼 四





「は?ちょっと待ちなさいよ。さっき隼人と格が違うのは分かってるって言ったわよね?

それなら隼人と別れるって言うのが普通じゃないの?無理って何なのよ!」



「ちょっと落ち着いて。」



「あなたがおかしな事言うからでしょ!」





声をかけただけなのに怒られた。話を最後まで聞いてほしかっただけなのに。




乱れた息が少しずつ落ち着いてきた妃菜ちゃんを見ながら口を開く。



妃菜ちゃんの目が鋭くて怖い。可愛い顔が台無しだ。





「無理っていうのは、私からは無理って事。あの傲慢で俺様で意外とワガママな隼人が私と別れるのを許してくれると思う?

想像してみなさいよ。ほら、無理でしょ?だから、私からは無理。」



「じゃあ別れないっていうの?」



「違う。あなたが取ればいい。」



「は?」





妃菜ちゃんが意味が分からないという顔をして固まる。



意味を理解しなよ。いちいち言わせないで。







「あなたが私から隼人を取ればいい。もしくは、隼人が私よりあなたを取るようにすればいい。」






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