赤い狼 四






「ちょ、稚春っ!」



「何言ってるの~!?」






私の台詞と共に妃菜ちゃんの目が大きく開く。





その様子を見ている私の肩を後ろから実と香に掴まれたけど妃菜ちゃんをずっと見ていた。






「あなたにプライドっていうものはないの?」



「そんなもの、とっくの昔に消えてなくなった。」



「……私が何をしようと邪魔しないのね?」



「今まで私が邪魔をした事ある?」





首を傾げて妃菜ちゃんに尋ねる。



っていうかその前に邪魔もなにもない。隼人は妃菜ちゃんの事が好きなんだから。私の事を"妃菜"って呼ぶくらい、凄く。





どっちかというと私の方が邪魔だ。





「無いわね。それなら、好きにさせてもらうわ。」





フッと微かに笑いながら妃菜ちゃんが机から降りる。




それを合図にしたかのように本城エリが教室から出ていった。



それに続けて妃菜ちゃんも出ていこうとドアに向かって歩く。



と、何かを思い出したように小さく呟いて振り向き、ニコリ。






「本当に邪魔しないでね?した時はどうなっても知らないわよ?

それと次、逢う時は隼人が私のものになった時かもね。」





妖しい笑いと言葉を添えて今度こそ、教室を出ていった。






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