赤い狼 四





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「お。早かったね!」



「黙れ裏切り者。」



「……あはは。」





あの電話から30分後、ハイスピードで着替えて棗に言われた場所で腕を組んでいた。




イライラの止まる事のない私の足は貧乏揺すりというものを激しくしていて。




目の前に立っている棗はそれを視界に入れて「ゴメンね…。」消えそうな声で呟いた。





「何がどう、ごめんな訳?」



「…全てにおいて。」



「全てって?」



「……。」



「あら。言えないのかしら?」





眉を下げて視線を落とす棗にまるで嫁を虐める姑のようにキツく言い返す。




たぶんこの光景を第三者から見たら棗が可哀想に見えるんだろうけど…でも。



(これくらいはしてもいいでしょ。こっちは急な連絡で、しかも迎えもなしで急いで出向いてやったんだから。)




こっちにはこっちの言い分があるわけだし、どうせ隼人が呼ばせたんだろうという予測がついてるから余計にイライラする。


自分で連絡できないほど妃菜ちゃん探しで忙しいなら、わざわざ棗に呼ばせてまでして私に逢おうとしなくていいのに。





しかも、「何でよりによってここ?」





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