赤い狼 四
今日一番となるだろう盛大なため息を大きく吐く。
私の瞳に写っているのはいかにも悪そうな近付きたくない場所、No.1な建物。この辺りでは有名な、不良学校だ。
なんだか、嫌な予感しかしない。
「ここに来るのは初めてだっけ?」
「初めてもなにも、隼人達と出逢わなかったら人生で一番寄り付きたくなかった所1位なんだけど。」
「うん、なんか今日は俺にも突っ掛かってくるわけね。」
「身に覚えがないの?」
「いえ。あります。」
ジロリと睨むと棗はさっきまでの苦笑いを止めて目を逸らした。
まぁ、素直だこと。
「で、神皇(しんおう)に呼んだわけは?」
「あー、なんか隼人が逢いたいって「逢いたがってる理由を聞いてるんだけど。」」
ピシャリとまたキツく言い放つ。
あぁ、今日は本当にイライラする。
別に棗が悪いわけじゃないんだけどな。
自分のイライラを棗にぶつけてしまってるなと少し反省して「……隼人が逢いたがってる理由は?」今度は柔らかい口調で聞いてみる。
すると、棗は首を振って口角を緩く上に上げた。
「直接本人に聞けば?」
「分かってないな。」
「何が?」
棗の答えに肩をガックリと落とす。