赤い狼 四





がちゃりがちゃり。





「ここってどこ?」



「神皇だけど。」



「学校だよね?」



「眼科に行く?」





………コイツ、今日はとことんムカツクな。




むすりとしながら棗の後を着いていく。




その度にまた、がちゃりがちゃり。




床に落ちているガラスの破片や砂、空き缶、食べかす、本…を踏んでいく音が耳に入ってくる。



何でこんな所にガラス?という疑問は周りを見渡せばすぐに解決できた。




この学校、窓ガラスがない。




一部だけなのかなと思って今まで黙ってたけどそうでもなかったみたい。



全ての窓ガラスが傷を負っている。


叩き割られて真ん中にポッカリと穴があいてるものや、ヒビが入っているもの。



中には窓ガラス自体がない窓まであった。あるのは窓枠だけ。窓枠だけって意味あるのか。





「窓枠使ってあげないと可哀想。」



「あぁ、それね。最初はちゃんと割れたら新しいのに換えてたんだけど、換えたとたんにまた割れるから面倒臭くなってそのままなんだよね。」



「……学校ってガラスがすぐ割れるような所だっけ?」



「稚春の学校は違うんじゃないかな。」




いやいや。私の通ってる学校だけが窓ガラスが割れない学校じゃないと思う。


むしろ、神皇がおかしいと思う私はおかしいのだろうか。

いや、きっと私は正常だ。





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