赤い狼 四
こいつらの頭はきっと私とは違う構造でできてるんだ。だから、窓ガラスがない窓枠を見ても心が痛まないんだ。
急に悲しくなって、思わず棗を見つめる。
「…、なんか稚春って馬鹿だよね。」
「はぁん?」
でも何故か馬鹿にされてしまった。しかも鼻で笑われた。
眉をピクピクとなっているのもお構いなしに棗を睨むと、棗がまた馬鹿にしながら「プププ。」とわざと口元に手を近付けて笑った。
「窓枠が使われなくて可哀想だな。なのにこいつらは可哀想だって思わないのか。って思って悲しくなったんでしょ。」
「……!」
「何で分かったんだ。みたいな顔してる。」
クスクスと笑う棗に驚きを隠せない。
や、やっぱり棗はエスパーだったのね。こいつ、私の心の中を読んで何が楽しいのっ!
「…本当、稚春って妄想族だね。」
「まぁしょーがねぇじゃん?稚春は最初っから妄想族なんだし。まぁ、一言で言えば……馬鹿だよね。」
「おー、稚春ちゃんスゲェうなじ綺麗じゃねぇかよ。なんだよ。早く言えよな。そしたら俺が舐めてやったのに。」
聞き慣れた声が私の心を擽る。でも、それと同時に破廉恥な言葉に目を据わらせた。