赤い狼 四
「何でお前がしょうがねぇな。みたいな顔してんだ。」
「ちょっ、髪の毛引っ張らないでよ。」
「お前、これで今日何回俺に喧嘩吹っ掛けてきたと思――…」
…?
眉毛をつり上がらせて文句を言っていた隼人がいきなり黙った。
さっきの勢いは何処にいったのか。怒ったり、急に黙ったり、忙しい奴だ。
「お…前、」
「何?どうしたの?」
私の後ろに回り込んで言葉を詰まらせる隼人に疑問の目を向ける。
すると、隼人が私の肩を掴んで反転させて
「…お前、誰と浮気してきた?」
私に殺気を込めた低い声で問い掛けてきた。
「は…?」
「お前、《SINE》に居ねぇ間に何してた。」
「え、ちょっ。何の話?」
隼人が切れ長な目で私を睨んでくるけど、さっきから隼人の話してる事が分からない。
だから、何て答えたらぃぃのかも分からず。
「《SINE》に居なかった間は何もしてないよ…?」
こう、答えるしかなかった。