赤い狼 四





「違ぇだろ。誰と何してた。言え。」



「は、えっ?何?急にどうしたの、隼人。」



「ぃぃから言えっつってんだよ!」




ビクッと肩が大きく揺れたのが自分でも分かった。




さっきまで周りで騒いでいた棗達も隼人の怒鳴り声と私と隼人の不穏な空気に気付いて口を閉じる。



それによって辺りが一気に静かになった。




「…隼人、何で怒ってるの?」




明らかに様子がおかしい隼人の顔色を伺うように下から覗く。




「分からねぇ。とは言わせねぇぞ。」




でも、何で怒ってるのかは教えてくれないらしい。



塚、隼人は自分が怒ってる理由を私がもう知っていると思っている感じだ。




でも私は全然、分からないよ。


分からないけれど早く答えを出さないと隼人の機嫌が悪くなる。


いや、今も悪いんだけどこれで私が答えなかったら絶対もっと悪くなる。



でも隼人が何で怒ってるのか全然分かんないし…


それに、未だに髪の毛をギリギリと引っ張られて痛い。



その痛みはさっきよりも強くなっている気がする。



痛みのせいで考えが上手くまとまらない。





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