赤い狼 四
「―――稚春?」
「私には望んでないことなのっ。」
不安げに揺れる漆黒の瞳が映すのは闇。
"それ"はどんどん私を引きずり込んでいくよう。
私はその瞳に『いっそのこと呑み込んで』と求める。
それを知ってか知らずか。ごくりと唾を呑んだ喉が上下して。
「―――俺と一緒は嫌か?」
隼人の瞳の奥に潜んでいた熱い感情が闇と一緒に迫ってきた。
『―――――"妃菜ちゃん"の存在の大きさをもっと知れって?』
闇に呑まれながら、私は。
そう、答えたくなった。