赤い狼 四





「人を想うのはいいことだぞ?」



「じゃあ銀も誰か一人に絞れよ。」




本当にその通りだと思う。銀は不特定多数の女を作りすぎだ。



奏の鋭いツッコミに納得して、部屋を見渡す。




稚春が居ねぇこの空間は寂しいな。





「あのクソ女のことだ。また何か変なことでも言ってきたんじゃね?」



「おい、奏。」



「んだよ。今さら許せって!?」




ガンッと奏の拳によって衝撃を与えられた机が大きく揺れる。



痛てぇ。今のは痛てぇ。



奏の拳も痛かっただろうけど何も悪くない机の方が倍痛かっただろうな。とぼんやりと思う。




確かに、許せるわけない。現に何で妃菜探しをしてんのか自分でも疑問に思うし、したくないと思う。



でもそれが出来ないということを知っているから妃菜探しをやるしかねぇ。




でも、俺が気になるのは妃菜じゃなくて―――





「稚春、大丈夫かな。」





稚春なんだ。





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