赤い狼 四
:オレンジなふたり
「………。」
「………。」
「……今日はいい天気だね~。」
シンと静まり返った空間に私の空元気な声が落ちる。
今日は橙色の頭をした人が二人、私の家に訪問しにきてくれているのだ。
「…あの、さ。」
「………。」
「………。」
「カフェに行こっか!!」
ニコッと笑って慶吾と優吾を見る。
見た目がソックリな、《VENUS》の下っぱ二人に。
でも、ピクリとも動かない二人に無理やり笑った頬が引くつく。
さっきから笑うどころか会話も全くしてないんですけど…。
くそうっ、朋さんめっ!!
ギュッと拳を握りしめて膝の上でワナワナと震わせる。
俺が話といてやるって言ってたくせに!薄情者!嘘つき!!朋さんのハゲ!
沈黙が苦しすぎてここには居ない朋さんに文句を浴びせる。
朋さんなんて将来ハゲてモテなくなればいいんだ。
きっと、今日の私は一番子供っぽいと思う。