赤い狼 四
「大丈夫か?」
そんな私の様子を見て連は安心した表情を浮かべ、私の頭を撫でてくる。
「大丈夫だよ。ありがとね、連。」
ニコッと笑い掛けると連は嬉しそうに笑った。
「…で、どうしてそんなに怖い顔してんの?隼人は。」
「…何でもねぇ。」
さっきまでの出来事を一通り見ていた棗が、眉間に皺を寄せたまま何も言わずソファーに座っている隼人に問い掛ける。
でも、隼人はただいつもより低い声で呟いた後、何も言おうとしなかった。
「はー。やれやれ。本当に此所には困ったちゃんがいっぱいだなぁ…。」
そんな隼人を見て棗は呆れた様子でそう呟き、頭をポリポリと掻いた。
その"困ったちゃん"の中に私も入ってるのかな…。
「心配しなくても稚春もちゃんと困ったちゃんに属するからね。」
「…すんません。」
私の呟きが聞こえたようにそう言う棗になんだか申し訳なくなって眉を下げた。
「まぁ、ぃぃけど。」
素早く謝った私を見て棗がソファーの背もたれに寄り掛かりながら笑う。
それでも申し訳ない気持ちは消えなくて、
いつも大変なのに迷惑ばっかり掛けてごめんなさい。
と心の中で謝っておいた。