赤い狼 四





と、




「それ近くにあるの?」




今度は優吾が私に口を開いた。



急に喋りだした二人に何だ何だ!?とビックリしたけど理由はともかく、私の言った"カフェ"という言葉に興味を持ってくれているのは確かだ。……これはチャンスだ!!




「この近くにあるよ!」



「あ。さっき朋さんに拉致られて連れて来られる途中に見た店?壁が緑で屋根が赤色の。」



「そう、そこ!!」




ソファーにどしりと座っていた体を少しだけ前に乗り出させた優吾にうんうん!と大きく首を縦に振ってみせる。



すると、それを見ていた慶吾が「美味しい…?」と私に上目遣いで聞いてきた。





……かっ、





「可愛「美味しい?」」





………うん。可愛いは嫌だったみたい。そうだよね。男にしては小柄でも男の子だもんね。



……でも可愛い。




「…えと、美味しいよ。」



「へぇ。」




男なのに可愛いなんて罪。あ、でも可愛い顔してても男だからそんな嬉しいことじゃないのかな。



……私がもし慶吾だったら…嫌かも。カッコいい、ってやっぱり言ってほしいし思ってほしいって思う。




そう思ったら慶吾にとって嫌な言葉言っちゃったな、と申し訳なくなった。




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