赤い狼 四

:探しもの






夏休みに入って三日目。




今日私はいつもの通り《SINE》に来ていた。


だけど今日一緒に居るのは




「稚春さん、なんか最近元気ないっスね?」




心配そうにタレ目を更に垂れさせている雷太だ。




「んー、そうかなぁ?」



「そうっスよ!なんかボヤーとしてるっていうか、いつもの稚春さん特有の締まりがないっスよ!」




懸命にジェスチャー付きでいつもの私を説明する雷太に笑う。


そっか。最近締まりがないのか。でもそれはしょうがない気がしてならないんだけどなー。



だって皆で集まって逢ったのなんて夏休み初日に逢ったのかしかないし。しかもあの後すぐに帰ったし。




結局、あの転校の話は断った。親の問題もあるし学校が不良校っていうのもあったから。


あれで親が許してくれるわけがない。たぶん私に比較的甘いお兄ちゃんも許してくれないと思う。





「なんかね、最近憂鬱なの。」




静かにため息をつく。



今日も一階に居るカラフル不良さん達は自分のやりたい事をやっていて楽しそうだ。



でもいつもよりかやっぱり数が少ない。妃菜ちゃん探しだろうか。





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