赤い狼 四





冷静にそんなことを思う自分に嫌になる。




もう自分は必要ないんじゃないのか。そう思うけれど隼人が私を捨てないから期待してしまう。



私はまだ隼人の隣に居ていい権利がある。


私はまだ隼人に必要とされている、と――――。




そんなのは滑稽だと言い聞かせても止まらないのだ。



だから、止めることができない。





「っていうか稚春さん、なんでここに居るんスか?隼人さん今日居ますよね?」




私の顔を覗き込むようにして見てくる雷太に「隼人は雑誌ばっかり見てて暇だから来た。」顔が近いと言わんばかりに顔を押し返す。

すると




「痛いっスよ!」




叫びながら涙目になっていた。可愛い。



それを見ていた周りの不良たちも笑う。終いには「稚春さん、もっと雷太虐めてやってください!」S発言が私に向けられた。大佐っ!ラジャーです!!




「止めてくださいよ!本当に止めてくださいよ!!」



「まぁまぁ、すぐに終わるから。今度は顔じゃなくてその緑のモヒカンがターゲットだから。」



「余計ダメっスよ!!!」





ケケケ、と笑いながら涙ぐんだ雷太を追いかける。




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