赤い狼 四





「なんで稚春さんが妃菜さんのことを聞くんスか?」




雷太が周りに細心の注意をはらいながら聞いてくる。雷太と一緒に私のところに来た不良さん達も真剣な表情で私を見ていた。



スッ、と背筋を伸ばす。





「私が知らないとでも?」





凛とした声が自分から出てきて少し驚く。いつの間にかスイッチが入っていたようだ。"白兎コーポレーション株式会社の令嬢"としての白兎稚春のスイッチが。





私の言葉に雷太たちがビクリと肩を震わす。私が何を知っているのか分かったみたいだ。




「稚春さんは、どこまで知ってるんスか。」



「妃菜ちゃんが隼人の元カノで、でも妃菜ちゃんは隼人を騙して付き合っていたっていうところまでだけど。」



「それだけっスか?」





「…"妃菜ちゃん探し"は順調?」





おずおずと私に聞いてくる雷太に満面の笑みを向ける。



ピキリ、固まった雷太。雷太の周りに居る不良さん達は目をキョロキョロと泳がせている。




たぶんバレてると思わなかったんだろうなぁ。




「まぁそんなこと私には関係ないんだけどさ。昔の隼人ってどんな感じだった?特に妃菜ちゃんと付き合ってたときの隼人。」



「え?」





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