赤い狼 四
そして、隼人の大きな背中に抱きつく。
この前、少しだけしか掴んでなかったらバイクから落ちそうになったから。
あれは死ぬかと思った。塚、死んだかと思った。
しかもその後、隼人に凄い怒鳴られたし。
お前死にてぇのか!って。
滅相もございません。
「…お前、朝から大胆だな。」
「は?」
「まぁ、俺は別にこれでぃぃけど。」
隼人がポツリと呟いてエンジンをふかす。
最後の言葉は小さすぎて聞こえなかったけど…ま、いっか。
そう思って《SINE》に着くまで隼人にしがみついていた。
…また落ちそうになったら困るからね。