赤い狼 四
:恐れていたこと
「えー、じゃあ始めまーす!まだ12月31日ですが、明けまし「それ俺のセリフだろーが!!!」」
ぐわんぐわん、と響く大声の中、たくさんの笑い声が聞こえる。
私の目線の先には真っ赤な髪をワックスで綺麗にセットした隼人と、それと対照的な、透き通った海を思い出させるブルーの髪で左目を隠している奏が高台に立って言い合いをしている。
「俺の仕事取るな!」
「ふざけんな!もともと俺のだ!」
ざわざわと騒がしい空間なのに二人はそれの中でもハッキリと聞こえるような大きな声で言い合っているよう。
それを見た周りの子達は「滅多に見れるもんじゃねぇぞ!」「どっちを応援すればいいんだ!?」「バカヤロー!見守るしかねぇだろ!!」無駄に興奮していた。今日はテンション高いのね。
一つ、ため息を溢す。
「早く始めなさいよ、って?」
「あー、銀。」
缶ビールとボトルワインを片手ずつ持ってひょっこりと私の後ろから顔を覗かせてきたピンク頭に顔を顰める。
あんた、どんだけ飲んできたの?
「お酒臭い。」
「あー、やっぱり?さっきビール七本飲んだからかな~。」
「七本!?」