赤い狼 四
―――――――
――――
――
《SINE》の二階のいつもの部屋。
「なぁ、何で昨日来なかったんだよ。」
私の目の前でウルウルと濡れた瞳を揺らして見つめてくる小動物…に見える大型犬。
本当にどうしたものか。
さっきから私はこやつのこの攻撃にやられっぱなしだ。
「そ、それには深~い訳がありまして…。
と、というかですね、その前にその攻撃を止めて欲しいんですがね。」
たじたじになりながらも大型犬の顔を隠す。
もう本当に、なつかれすぎも問題だ。
私の心臓がもたない。
フーと落ち着かせる為に息を吐くが、
そんな私を気にせずにまた顔を覗き込んでくる大型犬…の連。
いや、顔が近いんだけれども。
そんなに見つめないで、という視線を連に向け、後退りをする。
「なぁ、何で昨日「スススス、ストップストップ!
心臓止まる!稚春ちゃん死んでしまう!」」
ジリジリと連が私の耳元まで近付き、
喋ろうとした処で私の心臓はキャパシティーを越えてしまった。
どっくんどっくんと跳ね上がってる心臓辺りを押さえ、不服な顔をしながら離れた連に胸を撫で下ろした。