赤い狼 四
いや、寒いだろうけどさ。
もう12月だしさ。あともう少しで冬休みになっちゃうけどさ。
「屋上でしかゆっくり話が出来ないよ?」
「それもそうね。」
眉を下げて実を見ると、実は私が思ってる事が分かったようで少しだけ長いため息をついて階段を上がった。
「あんたも大変ね。《SINE》の人達に好かれて、次は《CHAIN》の学に好かれるなんて。
落ち着いて生活どころか、注目されまくりじゃない。」
実は多分、私がどういう生活を望んでるのか知ってる。
前の私の性格を知ってるから。
目立たないで、当たり障りのない平凡な生活ができればそれでぃぃ。
本当にそう思っていたから。
今もそうは思ってるけど、《SINE》の皆や《VENUS》の人達や、《CHAIN》の人達に関わってしまったのなら
そういう生活は出来ないって分かってるから仕方がないという事で、もう諦めはとっくの昔についてる。
でも正直、今まで仲がよくなかったのに急に下の名前にちゃん付けとかで呼んでくる女には鳥肌が立つし、心底ウザいと思う。