赤い狼 四
そんな私を見てあからさまに顔を歪める銀。
うーん、言えたら言ってるんだってば。
そりゃあ言いたいよ。隠し事はしたくない。
でも今回は仕方がない。
…答えたい、が答えられる訳がない。
だって、昨日は最近勢力が上がってきているという《CHAIN》の所に居たのだから。
しかも、その総長さんは昔仲が良かったつーちゃん。で、私の…未来の旦那様だ。
うん、言える訳がない。
口をキュッと紡ぐ。
「まぁ、そんなにキツく睨んだら稚春も言いにくいんじゃない?」
「仕事は終わったのか。」
「今日の分はね。」
ドカッと偉そうにソファーに座って寝ていた隼人がうっすらと目を開け、棗を見る。
その質問に棗は清々しい笑顔で答えながら隼人の斜め前のソファーに座った。
隼人…。い、今まで黙ってたと思いきや、お前ええぇ!棗には話し掛けんのか!
私が銀と連から
"昨日お前、何で来なかったんだ攻撃"
を受けてる時はピクリとも動かなかったくせに!!こんちきしょう!!!
ダンダンッと足踏みをする。
畜生、ムカつく。取り敢えずムカつく。