赤い狼 四
塚、はい。とか言われても誰にあげればぃぃのか全然分かんないんだけど。
表にも裏にも宛先と差出人の名前が見当たらならいんですけど!
これを私にどうしろと!?
混乱する頭をなんとか落ち着かせながら女の子の手を掴む。
歩くの速いし。速すぎなんだけど。
「あの!誰に渡せばぃぃんですか?差出人の名前は!?」
はぁっ、と息を整えながら女の子の顔を覗く。
誰宛なのか分かんないと私もこれの扱いに困る。
「…隼人に決まってんじゃないの。差出人は"ひな"よ。ちゃんと覚えた?」
女の子の言葉を聞いた時、違和感を覚えた。
「えっと、これをひなちゃんからって言って隼人に渡せばぃぃの?」
「そうよ。それじゃあ、私急いでるから。」
長い金髪の髪を靡かせて今度こそ去っていった女の子。
その後ろ姿を見ながら、さっきの違和感は何だったんだろう。と首を傾げる。
でも、全然と言ってぃぃ程その違和感の原因は分からなかった。
「あ、隼人に渡す手紙大事にしとかなくちゃ。」
手の中で握られた黒色の封筒を制服のポケットに入れる。