赤い狼 四





いけないいけない。神経を研ぎ澄ませるんだ。




え。研ぎ澄ませて何になるんだろう。まさか、絶対音感持つようになったりとかするんだろうか。


感覚を研ぎ澄ましすぎて頭までツンツンヘアーになっちゃったりして~。まさかのロックバンドのボーカル務めてたりして。




'ヘィYOU!!可愛ぃ私のファン達よ。楽しんでるかい?


ファンの皆を愛してる事をこの絶対音感とツンツンヘアーに誓うよ。ファンの皆!愛してるゼェー!!!!!'




「今なら抱いてやるぜ!ベイベ★みたいな?」



「撃ち殺すわよ。」




どうやら所持品は刀じゃなくて銃だったようだ。




「全く…あんたって奴は…。何で私が怒ってたのか忘れちゃったじゃない。どうしてくれんのよ。」




はぁ、と白い息を吐いて空を見上げる実。



いや、私は忘れてくれて結構でしたけどね。

実に平謝りしたのは気に食わないけどさ。




チラッと実の顔色を窺いながら何を言おうか、と言葉を探す。




「そ、そういえばさ!なんか今日ってやけに寒い気がしない?」



「それもそうね。」




反らした話題に上手く乗っかってくれた実に気付かれないようにガッツポーズを密かにする。



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