恋愛ビンタ
私は立ち上がり、歩いて、隣の席まで行く。

突然現れた私に、2人の男は茫然としている。

私の目にはまだ、涙が残っているけれど、そんなのは構わない。

軽く鼻をすすりながら、なんとか微笑む。

見合いに乱入してきた男は、まるで幻を見るみたいにして私を見ている。


話を、しよう。

私のことを。

あなたのことを。

これから育てていけるかもしれない、
何かのことを。


でも、
まず、
とりあえず。

私がしなければいけないことは。



彼の望み通り一発ひっぱたいて、今までのことを帳消しにすること。



でないときっと、罪悪感を片付けられず、いつまでたっても対等にはなってくれない。

不器用な人だから。

殴られなきゃ次に進めないほど、不器用な人だから。


私はペチリと彼を叩く。


何が何だかわからない顔をしている彼に、言い放つ。


「これで、帳消しです」
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