恋愛スマイル
呆然としていると、そのまま教室を出て廊下を行かれる。


行かないと、言ったのに。

迷惑をかけないと、言ったのに。

それを守ったら、この想いを信じてほしいと宣言したのに。


この
ひとは。

その私の
たったそれだけの

たったそれだけの
願いすら



断ち切りに



きたんだ。




もう、力が入らなかった。

体も。

心も。

ただ抱かれるままになった。

保健室に着き、ベッドにおろされる。

それは、すべての終わりを意味していた。

差し出されるままに鎮痛剤と白湯を飲みくだす。


馬鹿が、と、言われた。

本当だ。

本当に私は、馬鹿だ。

先生にとって、私の想いこそが迷惑な重荷だった。

そんなこと、最初からわかっていた。

それを、勝手な自分のルールと約束で固めて、

それを守ったら
信じてくれ?

馬鹿、以下だ。


「…もう来ないと」


私は今、笑っているんだろうか。

泣いているんだろうか。


「約束したのに」


でももう、どっちでもいい。

笑っていても、泣いていても、


「迷惑かけないと」


このひとには
響かない。


「約束したのに」


もう


どうでもいい。
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