死せる朝日の会
1章 出会いと再開
俺は倒れていた。 状況は全くわからないが、おそらくは自分の意志ではないだろう、そこにはまるで大きな災害でもあったかのようなひどい瓦礫の山が見えたからだ。こんな所でわざわざ夜空を眺めるような奴はいないだろう。ああ 今日は何て日だろうか。 一体俺に何が起こったのだろうか? 俺はもうすぐ死ぬのだろうか? いろいろな思いが頭をよぎる。だがそれらもやがて消え去り、俺は考える事さえやめていた。何も考えずに、ただ時間だけが過ぎていく。
だが、どれだけ時間が過ぎようとも、誰一人救助に来てくれないうえに、死という救いも訪れる事はなかった。 それに何よりも不思議なのは、いつまでたっても夜が明ける事が無かったのだ。
やがて意識が薄れかけていった時、俺の目の前に突然ひとりの男が現れた。音も無く現れた彼は全身黒いスーツに黒いシャツを着た、一見上海マフィアかと思わせるようないでたちで俺を見ていた。 突然の状況ではあったが、不思議と驚いていない自分がいた。 むしろ俺はこの時を、この彼を待っていたような気がする。
やがて彼は静かに口を開いた。
「きっと日はまた上るだろう、世界はあなたの中にあるのだから。」
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