死せる朝日の会
そこまでは鮮明に覚えている、しかし俺が次に気がついた時には、明るくなってる場内で妙に起こされていた。
「ちょっと、終わったわよ。全く恥ずかしいんだから、しっかりしてよね。」
いつの間にか寝てしまっていた俺は、まだ眠い目をこすりながら、妙に引っ張られて外に出た。
「悪かったな、せっかく楽しんでたのに。」
とりあえず妙に謝ると、
「いいよ、映画は凄く面白かったから、正直あんたの事忘れてたわ。」
と、笑顔で返された。それなら安心だ、妙はこうゆう事には人並みならぬこだわりがあるからな。
「まあ、お詫びにご飯おごってよね。」と、軽いウインクをして俺の腕にしがみついた。
「わかったよ。 約束する。」
すかさずガッツポーズをする妙、なんとなく微笑ましい光景だ。
「ちなみに、全部寝てた訳じゃないからな。あのしんみり話してるシーンなんかは、むしろ集中して見てたよ。」
俺の得意気な発言に妙は、
「そんなのあったっけ? どんな状況の時のシーン?」
と、不思議そうな顔で返してきた。
「お前も寝てたんじゃないのか? 教会だよ、神父達と二人の若者が話してるのがあっただろ。最後に全員でグラス片手に叫んでたじゃん
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