死せる朝日の会
「資料室? 何故に?」
「さあ? 何か、調べる事があるとか言ってたな。まあ、お前と違って怪我はないから、問題はないがな。とりあえず昼まで我慢しろ、ルーベンスが来てくれる手筈になってるから、怪我はその時に治療してもらう。」
それだけ言うと、アリはスタスタと部屋から出て行った。
俺は改めて左手を見る、それは、これまでの経験ではあり得ないほどに巻かれた包帯の塊だ。 一体どれほど固定すればこうなるのか? あとでルーベンスって人に診てもらうような事を言ってたが、これでは何もできないんじゃないかな?俺がダラダラと考え込んでいると、部屋のドアが静かに開いて、リンダが顔を出した。
「ちょっといい? 気がついたって聞いたから見にきた。」
俺は軽く「ああ」とだけ返答して、リンダを招き入れた。
「手は痛むか? ごめんな、助けられなかったよ、お前の事も、パスの事も。結局私は何もできない役立たずなんだ。」
投げやりに話すリンダは、とても寂しげで壊れてしまいそうな印象だ。だけど、これは違うよな。
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