死せる朝日の会
俺は来るべき痛みに備えて全神経を集中させていた。しかし、俺の予想とは裏腹に包帯は見事に外されていた、全く気がつかない内に俺の腕があらわになっている。
「うん、なるほどね。はいはいはい…」
などとブツブツ言いながら、あろう事か俺の腕を無造作に掴んだのだ。
「ちょっ…!」
俺はびっくりして、思わずルーベンスの腕を振り払った。するとルーベンスは不思議そうな顔をしながら、
「あれ? おかしいな、どこか痛かったかな?」
当たり前だ。そう絶叫しかけた時、俺はある事実に気がついた。腕が動いている、痛くないどころか、むしろ好調な程に腕がよく動く。
「あれ? これって一体何? 」
全く状況が理解できない俺をそのままに、ルーベンスとリンダは何やら話し始めてしまった。
「ああそうだ、前からリンダに頼まれていたアレ、持ってきましたよ。」
成り行きを黙って見ていたリンダの顔が、みるみる輝いていく。
「本当に? ありがとう、なかなか手に入らないんだよね。 さすがルーベンス、大好きだよもう。」
と言って抱きついていた。なんだろうかな、この疎外感。
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