死せる朝日の会

そうしている間に、ユリスはさっさとキッチンのほうに歩いて行ってしまった。間違いない、リンダはさっきの出来事をユリスに話している。もちろん俺だって黙っているつもりはなかった。でもこれは急ぎすぎだろ。
「あのさぁ… その、何て言うか…」
何かを言いかけながらも、実に話しにくそうな感じのリンダの肩を、ルーベンスがポンとたたいて、「大丈夫だよ、彼はさっき私にはっきりと宣言したからね。リンちゃんの事は真剣なんだと。だからそんなに形見の狭い思いをする必要は無いんだ。君は幸せ者だよ。ねっ？」
俺はさっきの自分の発言を思い出していた。確かにそう言ったのは間違い無い、けど、どうして俺を無視して話が進んで行くのだろうか？ ちなみに最後の“ねっ？”は、俺に対して言ってるらしく、完全に俺を見ていた。
実はさっき、ルーベンスと二人だけで話していた時に、彼からきつく言われた事がある。
「君がユリスの恋人なのは決まった事実では無いんだ、だから全て自由でかまわない、けどね、どちらに対しても誠実であって欲しい」