死せる朝日の会
少し考えていた妙だったが、
「ごめん、私もよくわからないの。 でもとりあえず一緒に来て。」
と言って、俺の手を握って歩き出した。言われるままに俺はついていく。すでに時間は6時を過ぎ、辺りは暗くなり始めていた。
歩きはじめてからどれくらい過ぎたのだろうか、街のはずれに建っている寺院に辿り着いた。 妙は辺りを見回してから、
「たぶんここだ。」と、つぶやいたと思うと、おもむろに寺院の奥へと歩いて行った。
「なあ、来たかった所ってここなのか? 何があるんだ?」 俺の何気ない質問に妙は、振り返ることなく答えた。
「ごめんね、今は違うんだ。もう少ししたら終わるから。」会話が噛み合っていない、妙のやつ一体どうしたんだ? 長い付き合いの親友だ、あとで悩み相談でもしてやるか。
とりあえず、妙の気が済むようにしてやるか。既に日が落ちている為、辺りには誰もいない。暗闇の中、周囲を見渡していた妙は、寺院の土台部分に近づいて、まるで何かを探すかのように見入っていた。それからしばらくして、
「あった。 ここだ、あとはなんとかして掘り返せば。」
一人でぶつぶつ言ってはいるが、若干無視できない内容だったので、
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