死せる朝日の会
即座に読まれたか、敵ながらあっぱれ。俺は諦めて坪をユリスに返した。
「見てなさいよ、度肝抜いてやるんだからね。」
やけにテンションの上がったユリスは、勢い良く坪を持ち上げた。 そして何を考えたのか、ユリスはその坪を床に思いっきり叩きつけた。“カシャーン”という乾いた音が響く。 思った通りに脆い坪は、一片がピンポン玉くらいの大きさにまで砕けていた。
「さてさて、ここからが大事だから、とりあえず触らないでね。」
ユリスはしゃがみこんで、坪の破片を拾う。その一つ一つを選別してから立ち上がり、俺に3つの破片を手渡した。 さっきまで坪だったとは思えないくらいの無残なそれは、俺が強く握っただけでさらに割れそうだ。 あれ? なんだろこれ。 俺は破片の一部の汚れが目についた、しかしそれは破片に書かれている小さな文字だったのだ。 顔を近づけ、目を細めて見る。 そしてそこに書かれている内容に俺は驚愕した。
【押し入れの壁、厚手の壁面は二重構造】
【パソコン用テーブルのキャビネット】
【食器棚の分割された隙間】
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