死せる朝日の会

二人して体をビクッとさせて、机の上の携帯を見た。
「ごめん、ちょっと待ってて。」
妙は携帯を手に取り、着信相手を確認してから電話に出た。 迷わずに出た様子からして、知り合いだろう。
「あ、どうも、お久しぶりです。 ええ、はい。どうしたんですか？」
相手は誰かわからないが、わずかに漏れてくる相手の声からして、ずいぶんと焦っているのがわかる。 そして、電話に出ていた妙の声色も急に変化した。
「どうゆう事ですか？ …はい。 全くですか？ わかりました。 …とりあえず準備しておきます。 では後で。」
最後は力なく電話を切った妙は、しばらくは立ちつくしていたが、やがて俺を見て、
「あのね、いなくなっちゃったんだって。」
と、つぶやくように口に出した。俺は突然の事に、
「えっ？ 誰が？ どうゆう事？」
と聞き返した。 しかし妙は答える事無く、視線も定まっていない。 心配になって立ち上がろうとした俺は、急に倒れてきた妙に頭をぶつけられてしまった。 顔面に妙のヘッドバットをもらって、二人して床に倒れ込む。 俺の上に、馬乗りみたいになった妙は、
「私、どうしたらいいの？ どうしたら許してもらえるの？ 」