死せる朝日の会
 そのモニターには首都圏周辺の地図が映し出されており、赤色の点滅が数カ所見られる。 それは各地に散らばっているメンバーの現在地を示したシステムであると同時に、緊急連絡用の補助装置の役割も果たす。
「周辺は順調だな、さてさて他はどうかな? ええと…、うん、みんな順調みたいだな。」
リンダは日本地図を順番にスクロールして確認していく、さらには中国とアメリカの一部を検索してから俺を見た。
「今の所は問題無しだ、トラブル通信も来てない。 むしろ私達のほうが問題なくらいだ。」
確かにな、さっきの遭遇はまずかった。
「そうかもな、しかしそれもクリアーしてる。もう大丈夫だ、既にオリジナルの二人は俺達の監視下にある。」
俺とリンダは再び、交渉の場に視線を戻す。特に変わった様子も無く淡々と何かを話している。もちろん音声も拾っているから会話は聞こえるのだけれど、会話の内容が難しすぎて意味不明なのだ。 しばらく動きは無さそうだな、俺は一息ついてコーラの缶を手に取る。 その時、リンダが何やら不振な顔をしてモニターに見入っていた。
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