死せる朝日の会

と、大量の涙を流しながら、俺を見ていた。 こんなに泣いている妙を見るのは、いつ以来だろう。 とりあえず俺まで動揺していたら駄目だ、軽く深呼吸をしてから妙を見る。意識的に声のトーンをさげ、なるべくゆっくりと、声を出す。
「どうしたんだ？ 何があった？ 」
しっかりと妙の目を見て問う。 俺の雰囲気の変化に妙も我に返ったのか、だんだんと目の焦点が定まってきた。 そして、涙を拭いながらこう言った。
「さっきの電話、親戚の叔母さんからなんだけど。私のパパとママがね、行方不明らしいの。 寝泊まりしていたホテルが突然爆発したらしくて、会社の仲間が見に行ったんだけど、もうどうしようもなかったらしくて。 でも、小さなホテルだったから、瓦礫はすぐにどかしたみたいなんだけど、誰もいなかったらしいのね。叔母さんは心配無いって言ってくれたんだけど、でも多分もう…」
再び鳴きそうになっていた妙の言葉を、俺が強引に遮った。「妙、予想だけで軽はずみな事を言うもんじゃない。 そのホテルにいなかっただけじゃないのか？ 誰もいなかったなら、むしろ助かった可能性のが高いはずだ。」