死せる朝日の会
おそらく夏の屋外でも無理な程に、手のひらには汗をかいていた。 心臓は高鳴り、呼吸すら乱れて来た。 リンダは俺の手を握り締めてくる、その手には俺と同じ様に汗で濡れていた。
一分一秒がやけに遅い、いや長いのか? 感覚が狂う、これも緊張のせいか? 何かあったらすぐにでも駆けつけて阻止する、その為には僅かな違和感も見逃すわけにはいかない。
しかし、これからおきた物語は、常に語られる物だけを集めた俺には、全く理解できない現実だった。 
そしてそれは唐突に訪れる、俺が見た夢のままにオリジナルと相原は立ち上がり握手をしている。 本来なら、まばたきする事無く監視するべき俺だったが、モニターの中で起こっている出来事に目を取られ、説明できないようなザワついた感情が込み上げて来た、そして次の瞬間。
バタン…

俺の横にいたリンダが、糸の切れた人形みたいに倒れたのだ、
「リンダ? おいっ! ああああああああああっ リンダああああーっ!」
どうにも感情が抑えられない、俺はリンダの体を激しく揺さぶりながら叫んだ。
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